プリオーリ宮殿で挙式された内田様よりこの様なお手紙をいただきました。

  11月26日

 挙式当日、ペルージャ地方は曇り。滞在中はイタリア全土で天候が悪かったようで、特に北イタリアの各州では大雨が降り、川が濫して周辺住民が避難するなどの事態にまでなってしまっていた。コーディネーターの堀内さんから、「今年は異常気象なんですよ」と、昨日役所にいく道すがらにそう聞いて、この時期に最高気温が20度近いのはやっぱり異常なんだと合点がいった。それでもなんとか雨には降られずに挙式には臨めそうであった。

 ペルージャで宿泊したホテルブルファニパレスから式を挙げるプリオーリ宮殿までは、普通ならヴァヌッチ通りを真直ぐ歩いて5分といったところ。でもこの日は挙式。ホテルから迂回して迎えの車で宮殿へ向う。さすがにウェディングドレスじゃ歩くわけにいかないもんね。

 正装した運転手さんにエスコートされて車を降りる。宮殿の入り口はまだ閉まっていて、11月4日広場で写真を撮ることに。ここに着いたときから学生が多いなぁと思っていたら、写真撮影中に学生様ご一行が広場を通過。たちまち注目と冷やかしの的になる。俄然、こういうのは洋の東西を問わず女子学生が敏感に反応してくる。なかでも一人は妻のそばに寄ってきて、東洋人の挨拶はみんなそうだと思っているらしく、手を合わせてお辞儀をしてきた。観音様じゃないんだから。ねぇ。

 ともかくそんなこともあって宮殿内へ。女性市議の宣誓のもと執り行われた挙式は立会人とカメラマン、通訳を兼ねていただいた堀内さんに見守られ恙なく無事終了。その後、「Sala dei Notari」で写真撮影。ふだん市議会場使われているというのがやけに説得力のある佇まいで素晴らしい。併せて、ペルージャ市から記念品をいただく。11月4日広場の噴水土台部分にはめ込まれたレリーフの一枚を描き起こしたもので、僕らにはGOLIAが手渡された。100枚のうちの48枚目というサインがある。ここで式を挙げたカップルに、必ず手渡されるそうだ。「噴水のレリーフからこの絵と同じものを探してください。」その言葉を、僕たちは後日実行した。

 ホテルに着くと車に乗り切れなかった立会人の男性がにこやかにこちらに挨拶してきた。フィレンツェから来ていただいたことだけは分かっていたが、あとは不詳。それでもホテルのロビーで互いに握手。ここにきて、友人も身内も全くいない中で、これだけの人々から祝福を受けることが素直に嬉しい。挙式が終わってからヴァヌッチ通りで衆目の中、写真撮影したときにも、通りがかりのおじさんや母娘さんたちが「auguri」と声を掛けてくれたり、ホテルのフロントマンたちもこちらのわがままついでの記念写真に収まってくれたこともありがたい。ちなみに妻は花の廻りを波状に紙で縁取ったブーケにいたく感心していた。たしかに珍しい。グッドデザイン賞を差し上げる。あ、山田さん、FAXありがとうございました。

 挙式後、減らした腹を満たしにペルージャの駅近くまで歩いて、鶏足の丸焼きを頬張る。「がぶっといけ!」ってジェスチャーを見せるオーナーが気に入った。部屋で着替えてくつろいで、なんてしていたから昼食の時間はとうに過ぎている。ローマではそうでもなかったけれど、こちらは本当に昼休みが長いのであちこちでシャッターが閉まっている。この店がなければコープかマクドナルドかという頭を抱える選択を余儀なくされたかもしれない。あー、生き返った気分。ポテトとズッキーニのグリルが美味。

 その先立つこと数時間前、ホテルを出るときに「明日はいるか?」とフロントで声を掛けられる。帰ってきてその意味がわかった。部屋にお祝いのシャンパンがワインクーラーのなかで待っていた。こいつは贅沢。行きたかった旧市街のリストランテが休みだったせいもあって、夕食はバールでピザを、コープで葡萄とリンゴを買い込んで部屋で済ますことにする。結婚式の夕飯のメニューとも思えないが、まぁ、疲れていたからこういうのも気楽でいいかな。

 買い物してホテルに戻ると、日中はあまり気付かなかった小さい観覧車に照明が入っていてなんとも楽しげ。5ユーロで12周。思わず次の日に乗ってしまいました。別の場所にはもう少し早い時期からメリーゴーラウンドが組み立てられていてこちらも子供たちに人気を博していたっけ。

 そんなこんなで、二人は無事に式を挙げることができました。日本およびイタリアのスタッフの方々、大変お世話になりました。おかげでいい記念とすることが出来たこと、本当に感謝しております。ありがとうございました。

 追伸:ロト、そろそろ当たりましたか?


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